この度、北海道社会福祉学会の会長職の重責を担うことになりました。会員の皆様、どうぞ宜しくお願いいたします。
 1990年代以降、雇用基盤の変化や地域基盤の変化、さらには生活・リスク形態の変化に十分に対応しきれていない社会保障・社会福祉の諸制度の機能不全が指摘されてきました。
 北海道においては、経済回復の動きが全国に比べて弱く、雇用情勢も長く低迷が続いており、また、少子高齢化も全国より早く進行しています。さらには、産炭地などかつてその存立基盤となっていた産業を失った地域や、また、公共事業等の政府投資にその経済を依存してきた地域において、新たな地域づくり等、社会福祉が担うべき課題も顕在化しています。
 現在の社会福祉の置かれた厳しい状況を、新たな創造的実践を生みだす契機として捉えかえしながら、既に北海道の基幹産業の一つとして成長した社会福祉関連事業の人的資源や連携力を、地域復興やその健全な発展に活かしてゆくために、当学会が担うべき役割も少なくないと考えます。
 前会長の杉岡先生をはじめ、歴代の会長や会員の皆様のご努力によって形作られてきた、研究と実践との有機的な連携体制は当学会の特徴であり強みとも言えます。これをさらに充実させながら、当学会設立の目的である会員の研究活動の発展、会員相互の研究・実践交流を図りつつ、また、学会からの問題提起や発議によって、道内の社会福祉問題に関する議論の活性化と研究・実践の拡充を促進しうるよう、微力でありますが、尽力していきたいと思います。
 なにとぞ会員の皆様の積極的なご参画をお願い申し上げます。

会長 田中 耕一郎
(北星学園大学・北海道ブロック担当全国理事)